『光』河瀨直美監督作品

『光』



監督:河瀨直美


出演:永瀬正敏/水崎綾女/


神野三鈴/小市慢太郎/早織/大塚千弘/大西信満/堀内正美/白川和子/藤竜也





レディースデイは、この1本でした。




弱視であるカメラマンと、音声ガイドを作る女性との物語。




とても、とてもシンプルな話の軸に、
時折入る、目が覚める瞬間の切り取り。



『あん』のハンセン病に続き、今度は視覚障害。



ただ『あん』の時よりも、より、さりげなく、

それこそ自分がその世界が当たり前のように世界に入り込んで
身近に感じるような、

”自然”さがあったような。





音声ガイドの職業に視点を当てた、
映画も番組も公演も、観たことなかったなぁ。



職の時点で新鮮で目からウロコだったけど。


ものすっごい劇的なことはないんだけど。



淡々と進む中に、衝撃が何度か走る。




視力を完全に失った瞬間、
あぁあ、と。


泣き叫ぶわけでも狂うわけでもなく
自分自身の内面でひたすら焦り、こわくなるような瞬間。



凄く、凄く刺さった。。




そして通して、”映画は観るだけじゃない”
というのを、改めて、体感した。





ただ、とても皮肉だなぁぁと思いながら観てた。



あまりにも、とてもとても、光が綺麗だったり
木々の風に揺れる情景だったりと、
映像が美し過ぎて。。



見えない人が映画を観る、”聞く”という話の中で
こんなにも美しい映像を撮るのかと。。

なんてこった。





2人の関係、心の揺らめき、刺激は、
最初に劇中で言ってように、

この映画も、言葉での説明はとても少ない。



先日の【2日間の演劇実験教室】の堀川炎さんを思い出してしまった。



「言葉なんてなくても伝わるんじゃないの」


ってのがしっくり。



永瀬正敏さんと美沙子(水崎綾女)さんとのやり取りなんて
本当そう。



余白が、とてもあるんだ。


でも普段の生活って、そんなもんかってくらいの会話で
成り立ってたり伝わったりするから。
だからより一層、身近に感じたのかもしれない。




特に多くを語らない関係。


夕日のシーンはドラマ的、劇的だったなぁ。

でも、女性視点で言ったらしっくりきちゃったんだよなぁ
なんて。







これは余談だけど。

何度か、風が揺れる風景が流れて。


風ってもともと見えるものじゃないし、


見える人、見えない人も同じように、皮膚で感じる、
共通のものだ、なんてポツリと思ったり。






失っていくものすぐ目の前にあって
それでも生きてる男と、

失いかけて初めて気づいた女。




男は失ってしまって、
女は失いかけて。




同じ境遇の人間ではない2人だけど、
対比にも感じた2人のラブストーリー。




同じ”光”でも、見るのか、感じるのか、
捉え方で人によって違う感覚になるもの。


共感、へ、彼女は徐々に変わっていったんだろうな。





そういや、とにかくアップが多かった。

その情報が少なさのシーンはまるで、視覚障がい者の感覚を
比喩したような体感だったな。





もう1度、今度は目を閉じて、更に耳で映画を観てみたい。



映画『光』公式サイト(河瀨直美監督)


【次回】

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1コメント

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  • 神田久好

    2017.06.16 20:12

    おはよう! 梨紗ちゃん、なる程って作品ですネ~ 盲目の人の演技はヤッパリ梨紗ちゃんを思い出しますヨ!