映画『サスペリア』(1977)

映画『サスペリア』(1977)
監督:ダリオ・アルジェント
出演:ジェシカ・ハーパー/
ステファニア・カッシーニ/アリダ・バリ/
ジョーン・ベネット/ウド・キア/ミゲル・ボゼ/フラビオ・ビッチ


新作『サスペリア』公開にあたり、
77年版の『サスペリア』がキネカ大森にて2週間限定でリバイバル上映してました。
こういう機会を設けて下さることに大感謝。。
DVDで簡単に作品が観れる時代、
とはいえ、やっぱり映画は映画館で観たいし、
私が家での集中力がないもんだから、お家観賞が苦手なんですよね。←
昔は受験勉強も実家でガッツリできたんだけどなぁ。


印象に強いのは、その照明。
赤、赤、赤の色調。
緑、青、画面がシーンごとにパッキリハッキリ
カラーリングされてる。

お化け屋敷でいえば、洋館もののホラーの感覚。
ショッキングでサイケデリック。
でもあくまで洋物だから身近に感じにくいせいか、
途中まではもはや芸術ものとして観てたけど。

話の筋も小細工、小賢しいこともなく。
主人公が観客目線となり、一緒にのめり込み恐怖を体感してゆく。
まっすぐなホラーでミステリー。

逆をいえば、
人物背景や、なぜ主人公が狙われたのか等の詳細はすっ飛ばし。
厚みはない、と言っていいのかも。
後々気になると言えば気になるんだろうけど、
あのテイストならもはや関係ないか。←
血だって明らかに偽物、だけど、
あの明るすぎる赤色がなんて映える。
冒頭からのショッキングシーンから、
目を背けたいのに、光や人物の美しさから
なぜか目が離せない。


映像美と同等に、この『サスペリア』といえば!
的に語られるのが、音楽。

前情報なしに観に行ったけど、やっぱり自然と侵食されてた自分。
印象深く、おぞましい声も入るのに、旋律は何故か繊細に美しく。

関係ないけど、コッペリアの『くるみ割り人形』で使われてる
[金平糖の踊り]の音楽。
『くるみ割り人形』は真っ当なファンタジーなのに
昔からこの曲だけが怖く感じてて。
今回の『サスペリア』でも、鉄琴のような金管楽器による主線が
怖さを演出するのに最適なんだなと思ったら
[金平糖の踊り]もやっぱり怖く感じるハズだわ!
と妙に納得してしまった。
観終えたあとは即、ゴブリンの『サスペリア』曲集をダウンロードしてしまったり。怪)


主人公スージーの、今の時代にも人気が出そうな
お目目くりくりのドール顔。
かぁんわいいいい。
40年前にいたのなら、そりゃぁ人気だっただろうな。
もともとバレエ経験者だけあって、体も細く綺麗。
おっぱいの無さもバレリーナ体型で、見た目の説得力抜群。
友達のサラだけは、一瞬踊った時の下手さにビックリした。名門なのに。笑)

ミス・タナー先生の顔は蝋人形のようで。(アリダ・バリ)
作られたような狂気の怖さが常に滲む。
ニカっ、と笑う顔が、もう、私ずっと何よりも怖かったし。。

あれこれ起きる怪奇現象、
次々と襲う猟奇的な追い詰め、殺害シーンは何度もありつつ、
さすがにサラの逃げ惑う回にきて物凄く怖くてビビりまくってしまった。。



向こうでの“魔女”というホラーの存在は
日本でいうお岩さんのようなものなのかな。
口裂け女とか?

古来から、儀式と踊りは密接な関係にあり、
特にその繋がりを説明しなかったのはとても好感。
設定だけで充分。



これだけショックが続き、目がやられそうなほどの色調。
しかしそのカラーを筆頭に、何かの光が入っていて。

赤い照明、青、緑、黄色、
水面の光、銀食器、ベルベットの壁、髪のキューティクル、、
どこかがずっと、艶めいている。
おぞましい顔がアップになろうとも、
クラシックバレエという居場所のおかげか、品も漂う。
映像が古くてもグロくても、何故かこの作品がずっと艶めいていて。
目が離せなかった理由の1つとして、この艶も、
美しさの1つだったんだろうな。。



ストレートなホラー映画。
芸術的でもあり、ちゃんと観客も恐怖へ追い詰める。
清々しいほどの流れにインパクトをずっと乗せ、
私たちをお化け屋敷のカートに乗せて運んでくれる。
逃げたくても途中で降りられない、
し、降りたくないほど釘付け。


あまりホラー映画で好きな映画はピンとこなかったけど
77年版『サスペリア』は今後、
ホラー映画でオススメを聞かれた際に是非とも上げたい作品になりました。。



これを観たあとすぐに、今公開中の
ルカ・グァダニーノ監督『サスペリア』を観るという贅沢日。

手触りも芯もまるで違った。
でもやっぱり『サスペリア』だった。
人物の名前だけは多く引き継がれてるし、
出演者サプライズもあるもんだから、77年版観てから行けて良かった。。





あーーー、あと、
靴の音。
映画での音って私たまらなく好きなんだけど
今回の靴の音は本当、見事だった。

最高のコツコツ音。
マイクで拾う音って、なんであんなに気持ちがいいというか。
聞き惚れてしまうのか。
衣摺れの音や何かを手に取るだけでも音がする。
日常の音のはずなのに、誇張されて撮れると
こうもいい音になるのよね。

靴音最高ぉって感じてたら、まさにその靴音がピックアップされたもんだから
また途中で興奮してしまいました。

映画の音フェチにはたまらん箇所。

【次回】

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1コメント

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  • 神田久好

    2019.02.12 20:48

    おはよう! 梨紗ちゃん、映画の評論がメッチャ判りやすい!  でも、ホラー映画ですか・・笑  苦手だなぁ・・笑  今日も色々と頑張って下さい!