映画『台北暮色』 と、女性監督たち

映画『台北暮色』


監督:ホアン・シー

出演:リマ・ジタン/

クー・ユールン/

ホアン・ユエン



やっとやっと滑り込みで観れたぁぁぁ。

ホウ・シャオシェン監督のアシスタントを務めた女性監督のデビュー作。

ここ最近、女性監督と聞くとつい反応してしまう。

なんだか彼女たちには共通点があるようにも思えたり。




高度経済成長期も終えた台北の今を生きる人たちの話。

ワケありで住んで1年あまりの女性、

車中生活を送る男性、

あまり人とのコミュニケーションを取れず何かを抱える少年。


この3人が、ゆるりと、繋がる演出構成が好き。

出会って、また再び出会っても決して劇的ではなく。

なんだか普通に再会し、会話する”なんでもなさ”。


最近見た女性監督作品観て毎度感じる、色彩の美しさ。

私に語彙力がないのが本当もう悔しいのだけど←

最初のボケた光たちから伝わる。


時間、そのシーン、人物によって、色味がはっきりしてたり

普通の夜の街の色だったり昼間の暑い空気だったり。

アジアで日本ともよく似ているけど、

やっぱりちゃんと異国だった。のが素敵。

思わず上海を思い出したよ。



物凄く必死でもあがいてることもなく、生活をしている彼ら彼女ら。

でも必ず誰しも、その人だけの事情を抱えてくすぶりながら日々を過ごしてる。


悩みは個人のもので孤独。

誰かと関わっても、1人の時間はやってくる。

でも、「距離が近すぎると衝突してしまうから、」と話す

缶のお酒を片手にコンビニの前。


あぁ、わかるなぁ、

こういうちょっと外れた時間が、いいんだよなぁ。

その時に出るのが、この言葉、ていうものまた。

好きなシーン。


孤独だけど、電車に乗ればアチコチでメールやSNSの通知音。

車、足音、話声。

観終えて、渋谷の街中が劇的にも感じてくる。

何かしら、どこかしらで人とは繋がっているし、

繋がっていたい欲求もあって。

1人1人のドラマ、生活があるのだと。

渋谷の街で上映、というのも乙だったんだな。



寂しさ描きつつ、最後は、起こしてしまった渋滞が

ほどけてゆく夕方の凄まじい高速道路で終わる。

車の中にも人がいて。

誰もがいる。


やっぱり1人じゃない、ことを余韻で感じるあたり、

なんて繊細な、前を向く作品だったのだろう。




『メアリーの総て』や、最近ふと見返した『そこのみにて光輝く』(大好き)も女性監督。

彼女たちには、悲痛も苦しみも恨みも心からの悔しみも憤慨もどうしようもなさも、

痛いほど描くことが出来る。


けど、

最後には、ほんのわずかでも、前を向ける瞬間を、

光が差す人物に光をあてて描いている。


『メアリーの総て』では復讐も誓いつつ、

けど本当に矛先を向けてしまうのなら、メアリーへ共感も称賛も尊敬も出来なかったし

監督やエル・ファニングも作品にしようと、思わなかったでしょう。


別の方向で、自分の道を切り開いた力こそ、素敵な姿で

残したい、描きたいと感じたのでは、と。

最後に本当に復讐してようと思っていたら、そもそも最後まで一緒にいないだろうし。

逃げたりすぐ殺してただろうに。笑)

勿論、一緒にいる理由もあるからこそ。




女って不思議でしょ。

そしてやっぱりやっぱり、なんて面白い生き物なんでしょう。


したたかで繊細で、いじらしくて健気で面倒くさくて、わりと自分に正直な気がする。

嘘も猫かぶりだって、本人の”真実”だと思う。


そしてどこか、ロマンチストなんだと感じたり。

それはとても現実的なロマンチスト。

監督になると、の話ね。

男性のロマンチストとは肌感が違うんだ。


だから痛みも寂しさもやりきれなさも、作品にするとなんだか違って伝わる。

最後に、ほんのわずかでも希望を見出すのも、

本当の絶望で終わらせないのも、共通してるように思えた。

強さでもあるのかな。



最後に「…ね?」と付けて映画館を出ると

腑に落ちる気がする。

あくまで個人的な感じ方だけど。笑)




来年はどんな女性監督が出てくるのでしょう。

今年観た監督たちも追っていきたくなる。



いやぁ、女性(監督作品)は、美しいや。



【次回】

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1コメント

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  • 神田久好

    2018.12.28 21:16

    おはよう! 梨紗ちゃん、平成最後の年末という事で、 平成元年からのテレビがホント多かった気がします~  ポケベルから携帯、スマホへ・・笑  映画もどうなっていくんでしょう??  ヤッパリ、大画面で観るのは絶えないと思いますヨ~~  昨日、年納でしたが今日まだ仕事デス・・笑 梨紗ちゃんも良い年末を!