『阿呆船−初演版−』終演

だいぶ遅くなりましたが。


先週の日曜日、14日に、吉野翼企画『阿呆船−初演版−』公演が終演致しました。

千穐楽を終えてから泥の様に寝て…

と、いつも通りしたかったのですが、諸々お仕事やら何やらがあって

少し時間が経ち、ようやく落ち着くことが出来ました。ふへぇ。

気づけばもう1週間ほど経つのですね。

早いなぁ。


この大入袋を頂いてから、あと少しで1週間が経ってしまう。
名前を、最後に呼んで頂いたこと…
本当は凄く、凄く高揚していたと思う。

忘れません。




この時期に公演がうてたのは、

演出で主宰の吉野さんを初め、スタッフの皆様、

心強い共演者の皆様、バルスタジオ様、

そして劇場へ足を運んで下さったお客様、配信をご視聴下さった皆様、

応援、ご尽力頂いた皆様あってこそでした。

遅くなりましたが、誠に、ありがとうございました。


もう、何から話していいのやら。。

ポツポツ、長くなりますが残したいことをひとまず書き残します。



初めてのアングラ、初めての主役枠。

勝手が違うことに戸惑いながらも、しかし変わらぬ劇場公演、

と思っていたのに。

コロナという目に見えぬ恐ろしいウイルスとの戦いを常に強いられてきました。


そもそも、まず参加するのか、降板か、参加、できないのか。

始まる前からの緊張感と恐怖はありつつ、

「今後も劇場公演が中止、延期のままでは悲しすぎる」

そう思った矢先に、

「この公演がひとつのショーケースになれば」

この公演の意味と願いを、遠慮しながらも芯として提示され、共感し、参加を決めました。


映画館しかり、公演や劇場という場所は、確かに無くても命や生活に必要最低限のものではないですよね。

私ちょこちょこ言ってますが、娯楽の1つ。

ただ私には、劇場にはとても素敵な時間がある場所だと知り、育ちました。

今こうして、少なからず劇場に関わっている身ならば、

状況は今までと違うけれど、

前を見たいし、私と言う小さな存在でも、劇場への橋渡しになればいいな、

なんて思いは前と変わらず、いや、2周りくらい増して過ごしていました。


私より、一層悩んだキャストの方も多数いたことと思います。

こうして最後まで一緒に作品の一部になれた共演者の皆様とは、今作で出会えて心から嬉しく感謝しています。

もはや戦友です。←




寺山修司の作品は筋が丁寧にあるわけでもなく、決してわかりやすくもない。

演じた”眠り男”も、普段人が持つ裏側が思った以上に、ない。困)

あるのかもしれませんが、今回の吉野さんの演出上では。

あの子、とても素直に作られました。

こんなに素直でいいのかと思うほどに。

作品の中で過ごす時間が増えるほど、やっぱり感じとることは多かったですが。

作品内に織り込まれている”俳優論”にも通じて、虚しくもなったりバカバカしくもなったり。


みんな利口なふりして、利口までいかなくても普通のふりして

自分の阿呆に気づかない。

コロナ渦によって炙り出された人達が浮かんでは消え、

その都度、自分も疑わずにはいられ無かった。

必死に「自分は違う」と訴えたあの子は、客観的にはどう観えていたのでしょうね。



風刺を込めた今回だから、逆手にとって【マスク仮面劇】と銘打って、全員がマスク着用で出演が成り立ちました。

ガイドラインが出る前から決まってたこと。

個性も出ました。時代も表れました。


ですがひとつ、ガイドラインに出ていた【出演者も出来る限りマスクを着用】についてです。


マスクにて2時間ほどの台詞、歌、動きやダンス。

とても苦しいものです。言っちゃってごめんなさいですが。笑)

客席との差があるのは分かっていましたが、我々は熱中症にも注意が必要でした。

気遣って下さったスタッフさんや、共演者の協力無しにはお互い倒れずにいられなかったでしょう。


あの。マスクを付けての運動や公演は、控えることをオススメします。笑)


とはいえ出演者の飛沫も恐いし、安全を優先すればガイドラインにもそりゃぁ登場するよねぇ。

終わった今、経験した身だから、これがずっと続かないことを願うばかりなのです。

酸素って、大事。

俳優の、顔半分の表現も。


いつも公演が完走出来るのは奇跡に近いと思うのだけど

今回ばかりは本当に本当に、稀に見る時代の狭間に生まれた奇跡の時間だと改めて思うのです。



正直、初めての主演枠が多くの人に観てもらえなかったのは

とても悔しいし切ないんですけど。()


それでも、観て頂けた人がいたことで完成された今回の怒涛の時間に

立ち会えた事実には光栄でならないのです。


アングラも初めてだった私にこの役を与えて下さり、

本当にありがとうございました。

どんなにいい俳優でも経験値が豊富で魅力があっても、

役や規模、チャンスに恵まれなければと、綺麗事抜きで思うので。

でも今回〜〜、って巡っちゃうんだけどね!でもこれも私らしいなぁなんて。笑)


寺山修司の言葉を口にできた機会に感謝し、

経験が身になったと信じて、今後も邁進して参ります。

おっそろしいのが、セリフが未だにこびり付いてるという。爆)

なんとも云われぬ解らぬようで美しくも尊く遠い、詩人の生むコトバのアクの強さ。

寺山修司、なんてこった。


阿呆船を検索してる時だったかな。

最後の台詞は、ふと目に止まった『阿呆船』のチケット画像があって、府に落ちたんです。

それは、1人の男が2本の並行に並んだ木の鉄棒らしきものに鎖で繋がれ、体は折りたたんだまま宙吊りになった絵。
手は顎の下で祈るような形を取り、僅かに微笑んで見えた絵。

チケットの上には〈天井桟敷◉第25回公演〉の文字。

記事の元がどうしてか辿り着けなくて画像だけなものの、あぁしっくりと、あの台詞を言う時に浮かぶのでした。

阿保たちでも船でもなく、描かれた絵はアレなのかと。




ありがたいことに、相方に恵まれました。

ZOOM稽古から、その実力と芝居に対する姿勢が私に良いプレッシャーに(勝手に)なり

おかげでこの期間、立つことが出来ました。


高畑亜美ちゃんと。
開いたチャックに、閉じたチャック。
最後の最後に撮ったこの写真たちも、

マスクは外さず、触れず、密着せず。


また、”眠り男の黒衣”のおかげであの子が存在しました。
いるせいで、とも言える。笑)
ずっとずっと私だけを見続けて操っていた森澤碧音さん。
身体能力、表現力に対応力に頭が上がりません。



今回、本当に人肌に触れていないなぁ。

芝居中はもちろん、普段も。

女性同士のイチャイチャみたいなのも、皆が無意識に気を付けていたのか

まるで無かった。本当に。

みんなが大人なのもあったけど。笑)


集合写真も、触れず触らず感覚を空けて。

こんな写真も今だけやね。




びっっっくりするくらい身体が悲鳴をあげていて

これからもメンテナンスが必要なのですが、え、歳なの???←

次に向けてゆっくり調整してゆきます。笑)

そして、せめて2週間ほどはまだ気を張っての生活を送ります。



長く長くなってしまったけど、

今まで以上の経験と感謝を身体中に感じて。

まだまだ書ききれない出来事も沢山ある。

けれども。


もう終わってしまったので。

また次回、劇場でお会い出来ますように。

沢山の感謝を込めて。


ーーー


最後になりましたが、

今、収録動画が配信されています…!


『阿呆船−初演版−』収録動画配信版

https://peatix.com/event/create2/1527109/edit#/advanced


オンライン配信に少し編集を加えたものです。

配信期限は7月1日まで。
1,500円にて購入、ご視聴可能です。

①ご視聴は上記のPeatix URLより各ログイン

②カテゴリー/ワード欄から『阿呆船』を検索

③チケットをお求めいただき、配信アプリ「Vimeo」のご視聴URLとパスワードを取得

ご視聴方法など詳しくは「Peatixイベントページ」に掲載しております「詳細内容」をご参考にしてください。


vimeoを使用しています。(〈仮設の映画館〉と同じ!)

アプリがなくても試聴可能ですが、より良い環境でご覧いただくには

vimeoアプリ、アカウントの取得がオススメです。


観に行けなかった方も、観返してみたい方も、

是非お気軽にご利用くださいませ。

そしてもし、もし宜しければ、、「観たよ」って、

なんでも良いので一言教えて頂けたら、ただただ嬉しいです。


ーーー


都内の映画館も徐々に再開されました。

公演も、これからの上演情報が出てきています。

再三になりますが、どうぞ、どうか、また劇場でお会い出来る日がありますよう

心から願っています。

やっぱり劇場って場所は、いいですね。

お会いしましょうね。




意地でも、触れない。笑

【次回】

6月公演『初演版 -阿呆船-』作:寺山修司

・Amazonプライムビデオ『BENZA ENGLISH』

・映画『AI崩壊』

・『ギャングース』DVD &Blu‐ray発売中

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梨の日

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1コメント

  • 1000 / 1000

  • 神田久好

    2020.06.20 20:32

    おはよう! 梨紗ちゃん、ホントあれはハードな舞台だったでしょう!  体力の消耗が観るうちに伝わってきて・・・  終わり方も、あれが正解だなぁ~って思って帰路に着きました~  またの舞台、気長に楽しみに待ってます~  お疲れさまでした!