映画『ナイトクルージング』
映画『ナイトクルージング』
監督:佐々木誠
出演:加藤秀幸/
山寺宏一/能登麻美子/神奈延年/
金氏徹平/ロバート・ハリス/
小木戸利光/三宅陽一/石丸博也
生まれつき全盲の方が映画をつくる。
どうなることやらの疑問から、あまりに内容の詰まった映画づくりを目撃しました。
私が前に目の見えない役をやった時、
ましてや後半、耳も聞こえない時には“ブラックホール”にいる感覚を想像し、体感してた。
けど。
生まれつきの全盲だと、色すら知らない。
黒という色も。
その概念の中で映画制作。
色を伝えるための視覚的色素、色の立体化は刺激的だったな。
目が見える者としては、上の方が白kて下に行くにつれて黒く、濃くなっていくことは容易に判断できる。
でも伝える時には。
軽さ・白、重さ・黒、として、重みからイメージを伝える。
ボーリングの玉の色が濃いものが多いのは、玉が重たいものと認識させるためだったり。
観客側の私たちにも、目から鱗の知識が盛りだくさん。
また、映画を作る時の現代のコンピュータの発達具合ったらびっくり。
え、え、、
これを普段の映画作りにも使ってたりするの???
どんだけ未来感だよと終始釘付け。
目が見えない=不便そう、というのは見える人間からの判断。
今見えてるものが見えなくなる、
人や車、危ないものを知ってしまってるから、恐怖を勝手に想像してしまう。
もちろん見えない人には多数の恐怖はあるだろうけど、もはやそれはそれ、とわりきる姿勢。
だって知らないんだもの、と。
私の出会ったことのある目の見えない人も、わりとこざっぱりしているのを思い出した。
もちろん人それぞれ、加藤さんだってとても周囲に気を使っていらっしゃると思うけど、見える人よりも、何かが強い気がしてて。
ラッキーなことにアフタートークもあって加藤さんお話しを直接聞き、目の前にいて下さった。
その時のトークで特に感じたというか、納得するほど、こざっぱりと、何か強く居たように、個人的には感じてました。
目が見えないから触覚や聴覚が優れている、
とは誰もが言うし実際そうなんだろうけど。
逆に、目の見える私たちは、視覚からの情報にとても頼っているのだな、なんて。
指を鳴らしての空間把握や(すげえ)触って情報を感じ取ること、生きながらちゃんと習得してきたことなんだよな。
とはいえ。
自分個人的なこと、感覚で言えば、
だから何だ、
と、うっかり思ってしまう。
誤解はしないでほしいのだけど。苦笑)
目が見えないことも耳が聞こえないことも、確かに不自由に感じ、見える聴こえる人間中心に作られたこの世界は、とても生きにくいとは、思う。
ただ、これは私の問題でもあるんだけど、
障害があっても、それはその人の個性、として受け入れちゃう感覚が、人より強いんだ私。笑)
目が見えない耳が聞こえないは、
ハゲてる太ってる、美人、足が長い、みたいな、特徴として見ちゃうから。笑)
差別的な映画をここ最近観るたびにモヤモヤしてたけど、そういうことだったんだわ。
だから、
全盲なのにすごい、
よりも、
この映画の中の制作過程にある技術の驚きや、スタッフさんや加藤さんのセンスだったり創作意欲の方に、興奮してました。
まさかAIまで出てきちゃうんだもん。
パッと目で得られる情報を、AIのように少しずつ情報を頭にいれて、把握してゆく、というAIの原理に自分の感覚が近いと言ってたな。
1シーンごとに各セクションで変えてゆくチームプレイも凄い。
チームの人たちは大変だったろうと捉えたり。
いつも視覚的に解るゆえに省略しする説明を細かく、1つ1つを伝えるコミュニケーション。
でも時々、「で、こっちが、、」と普通に話してしまう姿がまた面白かったり。
完成した作品には、監督の分身が主人公。
作品内で行われることを、監督自身で体感して作ることの意味。
体で知るからこそ出来る指示もあるだろうし、間違いなく、加藤さんが監督なんだと、周りも、観てる方にも伝わる。
SFが好きになったキッカケの作品とかあるのかなぁ。
触れられる色を知った後で好きになった色はなんだろうか。
時間はかったかもしれないけど、完成させた事の素敵さ。
私も、ようやく興味を持ち、やりたいと思う人がいて、何か完成させたい気持ちだから、完成させる事への尊敬がわく。
時間はかかるかもしれないけど、また次の作品も構想があるのであれば、是非観てみたいな。
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2019.04.18 20:59