映画『天才作家の妻 40年目の真実』
映画『天才作家の妻 40年目の真実』(現代:The Wife)
監督、製作総指揮:ビョルン・ルンゲ
出演:グレン・クローズ/
ジョナサン・ブライス/クリスチャン・スレイター/
マックス・アイアンズ/ハリー・ロイド/アニー・スターク/エリザベス・マクガマン
アカデミー賞主演女優賞に今年もノミネートされたベテラン女優グレン・クローズが主演。
受賞こそされていないが、7度もノミニーされている大女優は観ておかねばと、彼女目当てで映画館へ。
1月に日本で公開されてる故に、話題作に追われて、もう既に上映が終わっている映画館も多数。
観に行って、
なんでもっと早く行かなかったんだと、大後悔。
反面、
やっぱり観れて良かったと、心底。
グレン・クローズ、調べてみたらなんと79歳。爆)
しかし今作の冒頭では、しょーもない男であり旦那であり、影で実際に支えまくっている夫婦のイチャイチャ、、
というか手を出されるところから始まるっていう。
歳を重ねた、言っちゃえば老夫婦の現役いちゃいちゃ。
びっくりだった。笑)
アメリカ人俳優を筆頭に、海外の人たちは日本人よりも身振り手振りが多く。
コミカルな動きの表現がとても普通に存在してる。
目線を上にあげての「あぁーあっ」的なやつ、可愛くて異国感あって好きなんだよな。
そういう会話も素振りも、無かったわけじゃなかったと思うけど。
グレン・クローズに、その印象がなくて。
とても控えめ。
アジア映画的なナチュラリー芝居。
戸惑う時や、心の奥では違うことを思っている時、映画でも舞台でも特に表現しようとするし、普段だったら他の人にバレてしまうんだからそんな表に出さないはず。
なのに、芝居となると何故か”出して“しまう。
勿論、表現をしなければ伝わらないわけだし伝わらないなら話も展開も状況も見えてこない。
でもさっきの通り、本当に隠したい事であれば、隠すのが私たち。
日常の方が嘘をつくのは上手なんだよみんな。
それが、本当に、本当に、映画の中の彼女は、表(面)に出してなくて。
や、それでもこちらに伝わるんだから、出てはいる。
自ら出さないその芝居に、知ってる外国人の芝居は無くて、ものっすごく惹かれた。
でもちょっと思ったのは、既に題名で状況を知ってるからかも、なんて自問自答したり。
放題のまんま、
天才作家と呼ばれる妻であり、40年目にしての真実がある、
という映画。
これがもし原題の『The Wife』のままだったら、、
最初の彼女の目の奥の真実には、気づかなかったかもしれない…?
なんてことが過ったり。
原題だけではそっけないし確かに引っかかりもない。
真実って何?と引き寄せる方が確かに、確かにいいんだろうけど。
最初から”隠していた真実“があることを知って観てしまったことは、もしかしたらとてつもなく残念なことなのかもしれない…
邦題の難しいところにムズムズしたのが唯一悔しかったな。
それでも彼女の魅力は素晴らしかった。
「愛してる?」と1番のストレスであり足枷になっている旦那に問われた時。
「、、うん、えぇ。愛してる」
、と、が続く、言葉ではない”、“が、クッと、置かれている。
返したくない言葉。
でも仕方ないから言ってあげる、求められている言葉。
うわぁぁぁぁっぁぁぁ
女だぁぁぁぁぁぁぁ
男性にもあるあるかもしれないけど、だ、
言われた言葉の後にある自然な圧力、
言って欲しい言葉も分かっちゃう、
でもそれは、本心から返したい言葉ではなくて。
だから言葉が詰まる、ほんの少し本心の間の後に続くのが、仕方なしからの、ほんの少しの嘘の、建前の言葉。
だって言わないと駄々をこねられるし。
今より一層、面倒な展開になるのも分かってるから。
瞬時に理解し考え、でも結果、言ってあげる。
中には頑なに言わない女性もいるだろうし、相手の男性をいなせるなら「うん、ありがとう」と優しく流すこともある。
あの瞬間に共感した女性たちがどれだけいるだろうか。
ずっと、1人の作家であり、女であるグレン・クローズ。
密かに燃える想いが1人の作家に仕立て、対/夫という事が、妻であり女にしている気がする。
抑えに抑えた、演技というか。
腹の底で想いを、感情を、抑えに抑えたやり取り。
あの一瞬のイヤだという、拒否の瞬間と返答。
そして何より
最後の飛行機内の、耳打ちの彼女。
っあーーーーー
痺れたーーーーーーーー
って、痺れるってこういうことかと、
女優だなと、
ものすごく痛感した最後の彼女。
痺れるの一言。
セリフの詳細は残念ながらあんまり覚えてないけど(殴
いやほんと、感覚で観るのどうにかしたいんだけどね。笑)
のめり込めばのめり込む程、その時の瞬間に全力で没頭して感情をうごかしてしまうもんで。
細かなところを覚えている鮮烈さが残る映画もシーンも、あるにはもちろんあるんだけど、ね。
ふわぁぁぁぁと思った箇所にはその感覚の方が、体にも印象に残っちゃうのよ。ねぇ。
ただただグレン・クローズが、想像以上に素晴らしかったという。
またこの映画にかけてというわけではないけれど。
7回もノミネートされながら受賞を逃す、哀しさ、的なものが、今作の人物像と少し重なって。
報われない女性像というのは、誰しもが醸し出せるものではないし、その悲哀や悔しみやらが、(本人は思ってもない事かもしれないしお節介かもしれないけど)勝手に人間味と陰となり、私個人的にはとても、とても好きである。
自分もなぜだか幸せの女体質ではないだけに←
歳取ったとしても、陰や苦労があった上で、あんなに色気のある女性になれるなら。
なんていいだろうな。
今作のグレン・クローズ、私は一瞬呆けてから最高の拍手を送ってエンドロールを眺めてました。
はーーーーーー
ザカザカ書いたなーー。
うーーーん、なんでなんだろうなーぁ。
1コメント
2019.03.27 20:37